SkySight について

飛ぶ予定の前日、夜19:30を過ぎると「そろそろBlipmapが更新されるな、明日の条件はどうだろう」と気になる人は多いのではないでしょうか。
何ftまで上がれるのか、積雲が出るのかブルーなのか、穏やかなサーマルか荒れたサーマルか、離着陸時の風はどうか、コンバージェンスやウェーブはどこに出るのかなど、事前に心づもりしておくことは、XCプランを立てる上でも安全に飛ぶ上でも、欠かせない要素です。その意味でBlipmap運用開始は日本のソアリング事情を大きく変えました。
最近、海外では商用のソアリング気象予報サービスが積極的に使われるようになっており、予報の使い方が変わりつつあります。2018年春には日本グライダークラブの日本語化協力で商用サービスの一つSkySightの日本サービスも始まりました。この機会にソアリング気象サービスの特徴や出来ることを整理したいと思います。

 

 

1. ソアリング気象予測の仕組み
各サービスの違いに触れる前に、ソアリング気象予測の仕組みについて簡単にまとめましょう。
我々が普段使っているサーマルは、半径数十m、高さ数百mの上昇している空気の塊です。一つのサーマルは周囲数百mから数kmのセルと呼ばれる領域の温度分布や動きの影響を受けて発生し、さらに各セルは数十km離れた山や海を回り込む風の影響を強く受けます。海や山の風は日本列島全体の数百kmスケールの気圧配置に支配されていますし、気圧配置や上空の寒気は1,000kmから全地球規模の気団の動きで決まっています。結局、半径数十mのサーマルの特性を予測するためには、1,000km規模の気団の動きの予測から始めなければならないことになります、
数十mのサーマルも、1,000km規模の気団も、流体の動きであることに変わりはないので、流体の動きを表す方程式(質量、運動量とエネルギーの保存を表す5本の連立微分方程式)をコンピュータにかければ、シミュレーション(予測)することができます。ただ、1,000km規模の空気動きと数十mのサーマルを同時にシミュレーションすることは現在のスーパーコンピュータを使っても不可能なので、地球規模から数十kmまでの大規模な空気の動きと、数十kmからkmスケールまでの中規模の空気の動きを分けて2段階でシミュレーションしています。kmスケール以下の現象、例えば土手や林でサーマルがトリガーされる効果、工場と畑の間の昇温の違い、サーマル周辺の乱流などはいくら計算機の能力を上げても解像しきれないので、近似モデルを使います。

数値予報から直接得られるのは、各地点各高度での温度、速度、圧力などの数値データです。パイロットの要求が単に「ある地点ある時刻での雲底やサーマルトップ高度が知りたい」であれば、高度-温度プロット(いわゆるエマグラム, Skew-Tプロット)で十分ですが、「どのエリアが良いか」なら分布図が必要になりますし、さらに「夕方までどのように条件が変化していくのか」「どのような気象現象がソアリング条件に影響しているのか」まで知りたいとなると、様々なパラメータを組み合わせて検討する必要があります。
数値予報が高度になればなるほど、結果をどのようにパイロットに見せるのかの工夫も大切になってきます。

 

2. ソアリング気象予報サービスの比較
表1は、SSAの機関紙”Soaring”2017年2月号に掲載された記事中の、気象予報サービスの特徴をまとめた一覧表です(一部情報をアップデートしています)。

RASP Blipmapは日本でもお馴染みのソアリング気象予報ツール、Dr Jack.infoはBlipmapのベースになっているサービスです。
他の3つは有料サービスで、Topmeto.comは、近年ヨーロッパの大会でも盛んに使われているツール、XCSkies.comはハングライダーを主な対象に展開しているツール、Skysight.ioはオーストラリアの若手チャンピオンが自分が勝つために開発したツールを商用公開しているものです。
いずれも、公的機関が作成した気象予測データにさらに独自の処理を加えてソアリング条件の予測をしており、どの公的気象予測データをベースにするのか、どのような独自処理をするのか、さらに予測結果をどのようにパイロットに見せるのか、によって違いが出ています。
ソアリング気象予報は、広域シミュレーション、高解像度シミュレーション、近似モデル、データの見せ方の組み合わせであり、それらをどうバランスさせるかが、各サービスの特色になっています。

次に、表1の気象予想サービスについて相違点を比較してみましょう。必ずしも詳細が公開されていない場合もあるので、基本的にはSSAの記事の情報になります。
●数値予報モデル
「数値予報モデル」は、広域シミュレーションと高解像度シミュレーションの手法です。
広域シミュレーションは全てのサービスが NOAA (アメリカ海洋大気庁 National Oceanic and Atmospheric Administration) /NWS NCEP (アメリカ国立気象局 National Weather Service National Centers for Environmental Prediction, )が公開している計算結果を利用しています。
NCEPが提供するデータとしてはGFS. NAM, HRRR, RAPなどがありますが、日本付近をカバーしているのは 最も粗いGFS(Global Forecast System)だけなので、日本で展開しているサービスは全てGFSがベースになっています。
しかしGFSの水平方向解像度は赤道上で約13kmであり、関東地方で考えると妻沼〜板倉、板倉〜関宿の間に1,2点しか入っていないことになります。この程度の密度では十分に地形を解像できないので、山岳ウェーブやコンバージェンスはGFSでは予測できません。また、特に日本でソアリング条件に影響する山による風の遮蔽やそれに伴う風の回り込みもGFS上には出てこない可能性があります。
表1のサービスのうち、Dr Jack.infoとXCSkies.comはGFSなどの広域シミュレーション結果を直接利用しているので、これらの結果を見るときには地形の効果が十分反映されていないことを頭に入れておく必要があります。

BlipmapとSkysight.ioは共に WRF(Weather Research Forecast)を高解像度シミュレーションに使っています。このWRFは単一のモデルではなく様々な大学で開発された多数のプログラムパッケージで、WRFの中のどのモデルを組み合わせるかのよってシミュレーション結果は変わり得ます。

Blipmapは経験上良い予測をすることが知られており、多くのパイロットに信頼されています。Skysight.ioも予測と実際の比較をしてモデルの最適化をしていることをうたっており、Blipmap同様良い予測をしています。Topmeteoで表示される予報マップはGFS程度の解像度ですが、内部ではGFSデータをもとに独自の対流モデルによる高解像度シミュレーションをおこなっており、やはり良い予測結果を得ています。高解像度シミュレーションをしているサービスは、どれも実用上十分な信頼性を得ているようです。

高解像度シミュレーションは計算量が大きくなるので、計算機の能力も一つのポイントになります。
Blipmapは各地のボランティアで運用されているので、多くの場合小規模な計算サーバが使われており、計算能力の制約から予報期間が限られています。例えば日本では細かい予報は前日夜にならないと出てきません。
これに対し 商用のTopmeteo.comやSkysight.ioは潤沢な計算機資源を使える分、より長い期間、より細かい間隔で予報が得られます。例えばSkysightは5日以上先まで予報が出るので、週前半には次の週末の条件検討を始めることができます。学生でも社会人でも、グライダーを飛ばすためには様々な調整が必要なので、フライト計画の検討を早めに始められることはうれしい機能です。

●パラメータ
数値シミュレーション結果からどのようなパラメータをパイロットに示すのかも、各サービスで違いが出ています。各サービスとも開発者は気象学者であると同時に、1,000kmを飛び競技会で優勝するような優れたソアリングパイロットなので、それぞれの開発者がグライダーパイロット視点で「ソアリングに必要」と考えるパラメータを提供しています。
BlipmapとSkysightはほぼ同じようなパラメータが提供されています。Skysightの方が雲に関する情報が少し詳しいこと、任意の経路で山岳ウェーブ断面を表示できる点が主な違いです。
Dr.Jack.infoやXCskiesは解像度が必要なコンバージェンスやウェーブのパラメータがありません。
一方、Topmeteoが提供するソアリングに特化した数値データはサーマル強度とトップ高度、雲底高度と予想される最大タスク距離 potential flight distance (PFD)の大まかな分布だけで、SkySightやBlipmapのようなコンバージェンス予報やB/S比、km単位の詳細分布表示はありません。その代わり雲の予報がかなり詳しく、積雲だけでも7種に分類して予報されています。様々なパラメータを表示してパイロットに気象判断させるのではなく、 数値データはパイロットがフライト中に直接必要とする最小限の項目に絞り、それ以外の情報は総合評価であるPFDにまとめて提示した方が、気象の専門家でないパイロットが直感的に理解しやすい、という思想なのでしょう。

SkySightとXCskiesでは、Google Mapのように自由に拡大縮小や移動(pan & zoom)できる地図上に予報が表示されます。条件の良いエリアがどの辺りなのか、その日のトップ高度で行ける範囲なのか、直接曳航で届く場所なのか、また条件にあわせてどうコースどりするか等を具体的に考えるには、やはり地図上でpan & zoomできた方が便利です。
コンバージェンスやウェーブがなぜできるのか、1日の中で条件がどう変わっていくのかかを考える上では、時刻や表示パラメータを手早く切り替えられることも大切です。ユーザーイターフェスの作り込みは手間のかかる作業なので、このあたりもツール開発に人手をかけられる商用サービスの方が進んでいるようです。

 

3.ソアリング気象予報でできること
ソアリング気象予報でわかることと、その使いかたについて、SkySightを例に整理してみましょう。

<基本的な使い方>
「サーマルトップ高度 (Height of Thermals)」が最初に確認するパラメータでしょう。SkySightの「サーマルトップ高度」は大気上昇率が滑空機の最小沈下率(約0.89m/s)以下になる高度と定義されていて、Blipmapの “Critical Updraft Hgt (Hcrit)”に相当します。自分の滑空場を中心に行動範囲全体よりも少し広めのエリアで1日の変化を観察し、全体の傾向を把握します。
次に、風を確認します。「地表風 (Surface Wind)」は離着陸時の目安ですし、「境界層平均風 (Boundary Layer Wind)」は飛行中の風の指標になります。滑空場付近だけでなく、少し広いエリアでどこの風が強いのか、海と山のどちらから風が吹くのかも観察します。
これらの図で「何ftまで上がれるのか」「どのエリアが良いのか」「何時から何時までプラスがあるのか」と風を確認すれば、その日どの辺りまで行けるのかを大まかに計画することができます。
「何時頃どの方角から条件が崩れ出すのか」「条件の急変は無いか」は余裕を持って帰投する上で大切な情報です。どちらも、条件が一番良い時だけでなく、1日の傾向を見ることが大切です。

次に雲とサーマルの状況です。「雲底高度(Cu Cloudbase)」は文字通り積雲が発生するエリアとその雲底高度の予報です。「積雲が発生する可能性の高いエリア」はドット表示されています。
「サーマル強度&B/S比 (Thermal Strength & B/S Ratio)」はサーマル強さの指標です。サーマル強度の絶対値は参考程度にして、大まかな傾向として「どのエリアが良いのか」「極端に悪いエリアが無いか」をチェックします。
風が強い時は空気の乱れが強くり、サーマルが散る傾向があります。SkySightでもBlipmapでもサーマルの荒れ具体を示すB/S比が表示されるので、B/Sをみることでどのようなサーマルなのかをある程度予想することができます。B/S比が低いエリアはサーマル強度図上でドット表示されているので、ドットの密なエリアでは荒れたサーマルを想定します。ドットの無いB/S比が大きいエリアでは、まとまった上がりやすいサーマルである可能性が高くなります。
図1は2018年4月26日の関東地方の予報です(空域と風向も重ねています)。山側ではトップ6,000-7.000ftで積雲が出ますが、利根川沿いはブルーで3,000ft程度と低めです。板倉からなら北西に曳航してサーマルを一つを捕まえればあとは20-30km圏を積雲の下で飛べそうですが、妻沼からウィンチ発航だと良いエリアにたどり着くのに苦労しそうです。

図1: サーマルトップ高度、雲底高度予報

滑空場周辺を1,2時間飛ぶ場合でも「サーマルトップ高度」「地表風」「境界層平均風」「雲底高度」「サーマル強度&B/S比」は最低限チェックすべき項目になります。

<少し進んだ使い方>
より広いエリアをより長時間飛ぶためには、1日の中での条件変化や、沈下帯や条件急変の可能性も検討しておく必要があります。ここでは、コンバージェンスによるプラス(とその隣にある沈下帯)、海風侵入によるサーマル消失、オーバーデベロップによるサーマル崩壊、ウェーブについて検討してみます

●コンバージェンス
細長い日本列島では、地形や海風山風による局地的な風の収束(コンバージェンス)が、大局的な気象(気圧配置や上空の寒気)と同じくらいソアリング条件に影響します。
その一つが風の回り込みによるコンバージェンスです。図2は同じ2018年4月26日の関東地方の風予想です。SkySightの境界層平均風速を見ると、赤城山〜男体山に北西風が遮られて館林から宇都宮が弱風帯、その分妻沼を含む利根川沿いは風が吹き抜ける強風帯になり、その境目では収束(コンバージェンス)によって風に沿ったプラス帯と、その間の広い沈下帯が形成されると予想されています。

図2: 風の境目でのコンバージェンス

実際、この日妻沼は昼過ぎまで北風で館林より北では弱い南風、北側エリアの方がややトップが高く南側には広い沈下帯がある状況で、その後14:30頃妻沼の風向きが変わった直後に条件が急に良くなりました。大局的な風向きの変化で、当初館林以北にあった弱風帯が南に移動し、それに伴ってコンバージェンスが妻沼直上に生じて条件が良くなったのだとと考えられます。
このように、コンバージェンスはソアリング条件に大きな影響を及ぼします。コンバージェンスによるプラスをうまく使うと広いエリアを飛べる一方、プラス帯のすぐ脇にある広い沈下帯への対処が遅れると、大きく高度を失うリスクがあります。その日にどこにどのようなコンバージェンスができる可能性があるのかを頭に入れておけば、上空で雲や風を観察するときに役立つでしょう。

●海風の侵入
図3は2018年5月1日のサーマルトップ予報です。平野部で5,000ft以上のサーマルが残ってる15:30の段階で、筑波山より東側のエリアでサーマルトップが2,000ft以下になって完全にサーマルが消失しています。風向きを見ると筑波山より東側には海風が流れ込んでおり、、図には示していませんが筑波山を境に地上露点がはっきり変わっています。海からの湿った冷たい空気の影響でサーマルが消えてしまったことが分かります。

図3: 海風侵入によるサーマル消失

海風侵入によるサーマル消失は関東地方東側のソアリング条件に大きく影響する現象ですが、何時頃から入ってくるのか、どこまで入ってくるのかは大局的な気象条件に依存するので、気象予報を参考にしたいポイントです。

●オーバーデベロップによるサーマル崩壊
図4は2018年4月8日のコンバージェンスプロットとサーマル強度です。宇都宮の北と南にコンバージェンスによる収束帯が予測されているにもかかわらずサーマル強度はこの領域で低くなっています。日射の強さを表すパラメータである地表加熱率を見ると、このエリアで日射がほとんどなくなっています。コンバージェンスの上昇気流で積雲が発達した結果として、全天が雲で覆われて日射が遮られ、サーマルが崩壊してしまう現象(オーバーデベロップ)が予想されていることがわかります。実際、この日は昼頃宇都宮周辺に広い沈下帯ができていました。

図4: オーバーデベロップによるサーマル崩壊

SkySightでは「オーバーデベロップ (Overdevelop)」としてオーバーデベロップが生じる可能性を予測できるようになっています。
この日は北関東でオーバーデベロップ値50%以上とオーバーデベロップが起きやすい条件になっており、サーマル崩壊(予測図のオーバーデベロップ値の穴)が予報されていました。オーバーデベロップは、条件が良い時に急にプラスが無くなるという、注意が必要な現象です。これも、事前に頭に入れておくかどうかで、上空での対応しやすさが変わってきます。

●ウェーブ
日本列島に強い北〜西風が吹くときは、山との干渉による山岳波(ウェーブ)が期待できます。
図5は2018年5月19日の北関東のウェーブ予報です。この日は地上20kt,上空40ktの強い北西風が吹く予報で赤城山〜男体山の風下に帯状の沈下帯とプラス帯が予報されています。

図5: 赤城山のウェーブ予報

SkySightでは任意断面の鉛直速度を表示できるので、滑空場を起点とするウェーブ断面図をプロットすると、27km/6,000ftまで進出できればウェーブ第2波に入ることができ、そこで10,000ftまで上がってさらに10km前進できれば、第1波で30,000ftまで上がれるという予報です。
SkySightでは空域の表示もできるので、第1波が自衛隊訓練空域Area3, AreaHの中であり、第2波で上がって前進する際は入間基地レーダーサイトにコンタクトした上で、AreaH(10,000ft超)に入らないうちに北東側の男体山寄りに移動しなければならないこともわかります。

 

4. 実際に商用ソアリング予報(SkySight)を使ってみて
実際にSkySightをしばらく使ってみた感想ですが、まず、予報結果はBlipmapと同傾向で、信頼性は実用上十分です。

XC初心者の私にとっては、
(1) Google Map上で予報を見ることができる
(2) 時系列で観察することが容易
(3) 予報期間が長い
のがSkySightで有難い点でした。

例えば北西方面が良い予報でも、Blipmapだとそれが10km先なのか20km先なのかわからなので「そこに行ってみよう」という発想にならなかったのですが、SkySightだと良いエリアの場所が具体的にわかるので「どうやってそこまで行くか」を考えるようになりました。時系列はBlipmapでも見られるのですが、SkySightの方が容易なので自然と時系列で見ることが多くなりました。また予報期間が長いので週の前半からSkySightの地図の上で「この条件だったらどのような飛び方ができるか」とフライトプランを事前に考えるようになりました。
今までは前日の晩に「良いか悪いか」「明日飛びに行くかどうか」だけを見ていた頃は、ある程度上がってから「さてどっちに行こうか」と行き当たりばったりで飛んでいたのですが、事前に時間をかけてフライトプランを考えるようになってから自然と行動範囲が広くなりました。
ソアリング気象に関する理解が進んだのもポイントの一つです。今まではハンガートークで「今日は赤城山からコンバージェンスが伸びていたね」と聞いてもピンとこなかったのですが、地図の上で風速分布やコンバージェンスが赤城山から伸びているのを見ると、「あぁ、そうなのか」と納得することができました。

世界選手権に出場している丸山毅さんにもSkySightについて聞きました。以下は丸山さんの感想です。

やはりGoogle Mapでの重ね合わせはとても便利です。また、数値予報変化(5日前、4日前、3日前…当日、とどう変わってくるか)を見ることができるのもポイントです。数値計算も傾向があるので、予報がどちらに変わっていくか(良い方向か、悪い方向か)毎日見ていて、良い方向に計算値がずれていく時は実際飛んでみると予報より良いことが多いです。逆に、計算値が悪い方向にずれていく時は、当日、予報よりも悪くなることが多いです。計算値の変化を見て、天気変化の流れをつかむところがポイントと思います。
また、WaveはBlipmap だと計算メッシュが粗いせいか前日夜でないと分かりません。その点、SkySightは5日以上前から予報が出るのは助かります。今年は海外でTopMeteoとSkySight を比べながら使っていますが、Skysight を使っている人が増えてきている印象です。
いずれにせよ、予報に一喜一憂せず、淡々と目の前の条件をどう飛び尽くすかがグライダーの面白みです。

 

おわりに
高解像度シミュレーションをする予報サービスでは十分信頼性のある予報が得られますし、商用サービスを使えば早くから気象データが入手できます。地上で十分時間をかけて気象リスクも含めたフライトプランの検討をしておけば、上空では迷わず飛ぶことができます。
しかし、予報はあくまでも予報です。アメリカの粗い気象モデルであるGFSに基づいている以上、低気圧の進み方などでGFSが外れれば、当然ソアリング気象予報もずれます。好条件が予想されたのに実際はさっぱりだったことも、逆に全くダメな予報だったのに飛んでみたら結構良かったことも数多くあります。大切なことは、「その日は気象現象がおきる可能性があるか」を頭に入れた上で、実際の天気をみながら修正していくことでしょう。
ソアリング気象予報をうまく使って、楽しく飛びましょう!

なお、日本グライダークラブはグライダースポーツの発展をはかるための公益事業の一つとしてSkySightの日本語化に取り組んでいます。翻訳についてお気付きの点がありましたらぜひお知らせください。また、日本の空域データはハングパイロットのkosakaさんが作成して下さいました。OpenAIP対応なので、SkySightだけでなく、iPhone用のiGlideにも既に反映されています。XCSoarでも使えるはずで、空域検討が大変便利になりました。この場を借りてお礼申し上げます。

参考資料
●Global Climate & Weather Modeling Branch, “The Global Forecast System (GFS) – Global Spectral Model(GSM)”
●Walter Rogers, “Soaring Weather Forecasting – Models and Websites Overview”, Soaring February 2017
●岡村 治彦, 「Blipmap について
●Dr. John W. (Jack) Glendening, “BASIC Thermal Forecast Parameters
●Dr. John W. (Jack) Glendening, “RASP BLIPMAP Prediction Parameters and Description
●XC Skies , “XC Maps Parameters
●Youtube, “Weather forecasting and task planning

(2019.2.16   JSC 寺本進)